コラム

117 【相続問題】遺産をどのように分割するのか

2022年12月29日

被相続人が遺言を作成していなかった場合、あるいは、遺言が存在するものの、それのみでは遺産の帰属が決まらない場合、法定相続人による協議によって、遺産の帰属を取り決めることになります(遺産分割協議)。

遺産分割協議とは、法定相続人が、各相続分に相当する遺産を取得できるよう、遺産の終局的な帰属について、協議によって取り決めることです。

 

遺産分割協議は、複数名の法定相続人間で行われるものですから、遺産分割協議が成立するに至るまでに、さまざまな事項に関して、意見の相違が生じ、争いが生じ得ることになります。

 

このような争いは、遺産分割のあり方(誰が、何を取得するのか)に関するものもあれば、遺産分割のあり方を協議する上で前提となる問題(「遺産分割の前提問題」)に関するものもあります。

 

「遺産分割の前提問題」には、どのようなものがあるでしょうか。

 

まず、「誰が法定相続人であるのか」が問題となる場合が考えられます(「当事者の範囲」の問題)。

この問題は、戸籍と民法の定めから特定できるケースがほとんどで、争いとなることは多くはないのではないか、と考えられます。ただ、例えば、婚姻の有効性や養子縁組の有効性など、法定相続を基礎付ける親族関係の有無が問題となるケースもあります。

 

また、「何が分割対象となる遺産であるのか」が問題となる場合が考えられます(「遺産の範囲」の問題)。

例えば、第三者名義の財産が存在するとして、それは被相続人が自身の財産を第三者名義としていたに過ぎず、実質的には遺産ではないのかが問題となる、というケースが考えられますし、逆に、相続開始時に被相続人名義の財産が存在するものの、それは実質的には第三者の財産であって、遺産ではないのではないかが問題となる、というケースも考えられます。

 

続く

弁護士 八木 俊行

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