コラム

118 【相続問題】遺産をどのように分割するのか

2022年12月31日

また、「遺言が存在するものの、それはどのような効力を有するのか」が問題となる場合が考えられます(「遺言の効力」の問題)。

被相続人作成の遺言が存在するならば、遺産の帰属はこれによって定まることになりますが、遺言が無効であるならば、法定相続人間の遺産分割協議で解決されることになります。有効な遺言を作成するためには相応の判断能力を必要としますので、遺言が作成された当時の被相続人の判断能力が問題となる、というケースが考えられます。また、遺言が有効であるとしても、その遺言はどのような意味を有するのか、遺言の解釈が問題となる、というケースも考えられます。

また、これに似たものとして、「すでになされた遺産分割協議は、どのような効力を有するのか」が問題となる場合も考えられます(「遺産分割協議の効力」の問題)。

 

他にも、遺産の評価額に関すること(例えば、不動産や非上場株式の評価額をどのように考えるのか)や、生前の被相続人と各相続人の関係に関連して「特別受益」や「寄与分」に関すること(例えば、被相続人から相続人への生前贈与や、相続人による生前の被相続人の介護の事実をどのように考えるのか)、といったことが問題となることも考えられます。

 

法定相続人間での任意の話し合いでは遺産分割協議がまとまらない場合、家庭裁判所における調停手続や審判手続を通じて解決を図ることが選択肢となります。ただ、「遺産分割の前提問題」は、これが解決しない限り、遺産分割のあり方を検討することも困難、という関係にあると考えられます。

そこで、法定相続人間で争いとなっている問題の内容によっては、家庭裁判所による調停・審判手続での解決に先立ち、地方裁判所などで、民事訴訟手続を通じて根本的な解決を図らなければならない場合もあります。

 

続く

弁護士 八木 俊行

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