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コラム
101 「いじめ」と不法行為責任(1)
2019年08月7日
2019年7月上旬、岐阜市内の中学3年生が転落死したとの報道がありました。その背景には、いじめの問題があったようであることも報じられています。
文部科学省(初等中等教育局児童生徒課)が作成した「平成29年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」という資料が公開されており、インターネットでも容易に閲覧できます。
同資料は、平成29年度に実施された調査結果を報告するものです。合計66頁とかなりの分量がありますが、いじめに関する部分のみご紹介します。
この資料では、「いじめ」について、個々の行為がいじめにあたるか否かの判断は「いじめられた児童生徒の立場に立って行う」との前提のもと、「児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童と一定の人的関係のある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているものとする」と定義しています。
そして、次のような調査結果が報告されています。
・平成29年度、小・中・高等学校及び特別支援学校におけるいじめの認知件数は414,378件であり、児童生徒1,000人当たりの認知件数は30.9件
・前年度は323,143件であり、平成29年度は91,235件増加
・いじめの認知件数の内訳は、小学校3,171,212件(前年度237,256件)、中学校80,424件(前年度71,309件)、高等学校14,789件(前年度12,874件)、特別支援学校2,044件(前年度1,704件)
いじめの認知件数は、昭和60年度以降の年度ごとの推移も示されており、平成26年度以降、一貫して増加傾向にあることも確認できます。
実態としていじめの件数が増加しているのか、かねて認知されていなかったいじめが、学校側の取扱いが変わったなどの理由から表面化するようになったということなのかは判断できませんが、現在、なお学校における児童・生徒間のいじめは、極めて深刻な問題としてこの国に存在することは間違いない、と言えるのでしょう。
誰もが「いじめは根絶されることが望ましい」と考えるはずです。
子供同士の出来事であろうとも、学校内の出来事であろうとも、治外法権ではなく、法律が適用されます。その適用がより積極的になされるようになれば、あるいは一定の抑止力になるかもしれません。
いじめは法律問題でもあるということを、考えてみたいと思います。
弁護士 八木 俊行
伏見通法律事務所
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