コラム

41 結婚と離婚の法律問題(3)

2019年03月2日

先回からの続き

 しかしながら、民法第733条が、女性を対象にして再婚禁止期間を定めていたのは、女性の再婚後に生まれた子どもの父親が誰であるのかという問題に関して、推定の重複を回避することにより紛争発生を防ぐためである、と考えられます。

 そうであるならば、ある女性が、前夫との婚姻を解消して、新たに現在の夫と婚姻するという場合、100日間の空白期間があれば、民法第772条2項による推定が重複する事態は回避できるわけですから(なぜなら、前婚の解消日から100日間をおいて再婚した場合であって、再婚後に子を出産した場合、その子が、再婚後200日までに生まれたならば前夫の子と推定され、再婚後200日を経過してから生まれたならば、新たな夫の子と推定される、というように、推定は重複しません)、民法第733条の立法目的との関係では、再婚禁止期間は100日間あれば十分ではないか、と考えられます。

 

 このような問題意識を踏まえ、最高裁判所平成27年12月16日判決は、次のような判断を示しました。

 すなわち、民法第733条の「立法目的は、女性の再婚後に生まれた子につき父性の推定の重複を回避し、もって父子関係をめぐる紛争の発生を未然に防ぐことにあると解するのが相当」とした上で、「女性の再婚後に生まれる子については、計算上100日の再婚禁止期間を設けることによって、父性の推定の重複が回避されることになる」、「父性の推定の重複を避けるため上記の100日について一律に女性の再婚を制約することは、婚姻及び家族に関する事項について国会に認められる合理的な立法裁量の範囲を超えるものではなく、上記立法目的との関連において合理性を有するものということができる」として、女性を対象にした100日の再婚禁止期間の定めは合理性を有するとの判断を示したものの、100日を超える再婚禁止期間については、「民法772条の定める父性の推定の重複を回避するために必要な期間ということはできない」とし、これに関しては「憲法14条1項に違反するとともに、憲法24条2項にも違反するに至っていたというべきである」との憲法違反の判断を示したのでした。

  そして、この最高裁判決をきっかけに、女性の再婚禁止期間を定める民法第733条は、本来自由であるべき婚姻に対する制約を、立法目的との関係で必要な範囲に限定するべく、現在の条文へと改正されるに至ったのでした。

続く

名古屋/伏見通法律事務所 

弁護士 八木 俊行