コラム

34 労働審判手続は迅速解決を重視(1)

2019年02月21日

 私が所属する愛知県弁護士会は、会員である弁護士を対象に、会員の研鑽を図るべく、不定期に、ただしかなりの頻度で、各種の研修を実施しています。本日、労働審判手続に関する研修が実施されましたので、参加させていただきました。

 講師は、名古屋地方裁判所民事第1部の裁判官が務められました。名古屋地方裁判所には、民事事件を扱う担当部が10部存在します。その内、民事第1部は、労働関係事件を集中的に扱う労働集中部です。そこで、日常的に労働事件に関与されている裁判官が講師を務められるとのことで、是非にと思い参加させていただいた次第です。

 

 民事事件は、利害が対立する2名以上の当事者の存在を前提とします。当事者間の紛争を解決するためのプロセスは、まずは裁判所外での当事者間の話し合い(示談交渉)から始まり、これにより解決できなければ、次の段階に移行し、何らかの手続を利用することになるのが一般的でしょう。

 このような手続には、裁判所が関与するものと、裁判所が関与しないものがあります。

 裁判所が関与しない手続としては、例えば、交通事故に起因する損害賠償請求事件など、事件類型によっては各種業界団体が主催する手続を利用できる場合がありますし、また、弁護士会が主催する手続も存在します(あっせん仲裁手続)。

 これらは裁判手続に代替する紛争解決手続であり、裁判外紛争手続、などと呼ばれます(代替的な紛争解決手続を意味する「Alternative Dispute Resolution」の頭文字を取って「ADR」とも呼ばれます)。

 

 他方、裁判所が関与する手続にも、裁判所で、当事者が調停委員を介して協議を重ねることによって紛争解決を目指す調停手続や、双方当事者による主張と立証を踏まえ裁判所が判決を下すことで紛争解決を目指す訴訟手続(裁判手続)など、様々な類型が存在します。 

 このうち、労働審判手続は、労働関係に関する事項について個々の労働者と事業主の間に生じた民事に関する紛争(これを「個別労働関係民事紛争」と言います)に関し、裁判所において、紛争の実情に即した迅速、適正かつ実効的な解決を図ることを目的とした手続です(労働審判法第1条)。

続く

 名古屋/伏見通法律事務所 

弁護士 八木 俊行