コラム

19 「原発ホワイトアウト」~読書1~

2014年04月23日

 3月に若杉冽氏著「原発ホワイトアウト」(講談社、平成25年9月11日第一刷発刊)を読みました。
 著者は東京大学法学部卒の現役官僚と紹介されていますが、それ以上の詳細は不明です。

 舞台は東日本大震災後の全ての原発が稼働を停止した日本。
 国会議員、官僚、電力会社側の利益代表、原発立地自治体の首長など、さまざまな立場の登場人物の原発再稼働に対するそれぞれの思惑や行動が描かれた小説です。
 もっとも、実在の人物、団体を思わせる固有名詞や生々しい事実の描写からすれば、これを単なるフィクションと考える人はいないでしょう。
 紹介された著者の略歴もあいまって、これまで日本で起きてきたこと、あるいは現在まさに起きていることが描かれているのではないかと考えざるを得ない内容になっているわけですが、情報に乏しい一市民には真偽は判断できません。

 先日、政府が福島第一原発事故後、初めてエネルギー基本計画を閣議決定した、というニュースがありました(新聞報道は4月12日付)。
 エネルギー基本計画の内容はインターネット上でも公開されていますが、79ページに及ぶ「大作」であり、私も非常に興味があるものの、まだ読んでいません。
 目次等を一読したところ、この基本計画は、原子力発電について「エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源」と位置付け、また「原子力政策の再構築」という項目が設けられているなど、今後の原子力発電の利用を肯定する内容となっており、新聞ではそのことが批判されたようです。
 他方で、この基本計画では、「徹底した省エネルギー社会の実現」、「再生可能エネルギーの導入加速」といった項目も設けられているようですが、こちらはあまり報道されなかったようですね。

 「原発ホワイトアウト」を読んだ後だけに、このエネルギー基本計画にも、さまざまな立場の人たちの思惑が反映されているのだろうと考えざるを得ません。
 その実態が「原発ホワイトアウト」に描かれたようなものであるとすれば、私は実に恐ろしいことだと思うのですが、皆さんはいかがでしょうか。ぜひ、ご一読下さい。

 

弁護士 八木 俊行

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