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コラム
26 「さらば財務省!」(2)~読書3~
2014年06月9日
(前回の続き)
法曹養成制度改革に関する問題改善に向けた進展がないのは何故なのか。
なにゆえ問題解決のために設置されたはずの審議会で改善策が決まらないのか。
私はかねて疑問に思っていたわけですが、「さらば財務省!」(高橋洋一著)に、この疑問に対する一つの回答と思われる記述がありました。以下、一部を引用させていただきます。
(90頁以下)
「霞が関が、これまで官僚主導の政策立案を継続できた最大のからくりは、審議会システムにある。政府案は審議会の答申に基づき、練られる。審議会委員にはその分野の選りすぐりの学者や有識者が集められることになっているが、実態はお寒い限りだ」
「審議会のメンバーの人選は事実上、担当官庁が行う。閣僚はそんな細かいことにまで関わっていられないので、役所から推薦された人物を承認してメンバーが決まる。役所は当然、自分たちと反対の意見を持つ人間は、初めから排除する。考えを同じくする学者か、さもなくば、毒にも薬にもならない、ほとんど無知で、自分たちのいいなりになりそうな人間を選択する」
「その結果できあがるのは、役所の代弁機関としての審議会である。一回目の審議会が開かれる前に、役人が委員に選ばれた学者にあらかじめ説明を行う慣わしになっている。役所では、これを『振り付け』と称している。文字通り、役所の思惑通りに振る舞うよう振り付けをするのだ」
(93頁以下)
「役所の御用学者や、官僚の意向に従順な有識者の集まりにしたくない、真剣な討議をやってもらいたいと考えた閣僚が、自ら人選した、やる気のある人間をメンバーに送り込んできたとしても、『異分子』のコントロールなど役人にとっては朝飯前だ。事務局は役所内に置く決まりになっているからである」
「新しくつくられた審議会の方向性は最初につくられたドラフトでほぼ決定する。誰しも経験があるはずだ。たとえば会社の会議で、方向性や議論すべき内容を記したペーパーが配られると、その枠組みを越えて議論を展開するのは心理的にもむずかしくなる。このフレームづくりをするのが事務局なのだ。事務局では役所に都合の悪い問題点をわざと落としたり、主張したい論点を強調してドラフトをつくり、審議会の結論を誘導しようとする」
「それでも、意に反する結論が出そうになれば、潰すだけだ。『結論が出なかった』といってしまえばそれまでである」
(以上、引用終わり)
実に驚くべき記述ではないでしょうか。
「さらば財務省!」の上記記述から考えますと、法曹養成制度改革に関する問題について、審議会での議論にも関わらず、改善策が決まることもないまま現在に至っているのは、この問題を所管する官庁側(文部科学省と法務省であるそうですが)の意向によるものなのだ、ということなのかもしれません。
そうしますと、法曹養成制度改革に対する是正、再改革の方向性は両省庁がどのように考えるか次第であり、結局のところ、両省庁が動かない限りは何も決まらない、ということなのでしょう。
弁護士 八木 俊行
伏見通法律事務所
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