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コラム
17 取引先からの入金が滞ったら(1)~債権回収の話3~
2014年04月15日
支払期限を経過したが、取引先からの入金がない。こちらはすでに物(あるいはサービス)を先行提供しているというのに・・・。
企業にとって悪夢のような事態ですが、債権回収のためにどのような手が打てるのかが問題となるのは、このケースのように、日常的に付き合いのある取引先の支払いが滞る場合ではないでしょうか?
債権回収のためには、①債権に執行力を具備すること、②財産に強制執行をすることの2段階を経る必要がありますが、具体的には何が問題になるでしょうか。
①債権の執行力の点はどうでしょうか。
日常的に付き合いのある取引先に対する債権について、あらかじめ用意周到に公正証書が作成されているなどということはまず考えられません。債権に執行力を具備するためには、裁判で勝訴判決を得るなどの対応が必要となる場合がほとんどでしょう。
民事裁判では、当事者間に争いのある事実(争われている法律関係を発生させる原因となる事実)は証拠によって証明しなければなりません。このケースでは、ごく簡潔に言えば、債務者が何についていくら支払うというのか、という点に関する「債権者と債務者の合意(=契約)」の存在を、債権者側の責任で、証明しなければなりません。
そこで、これを証明するだけの資料があるのかが重要な問題となります。
一般的に、取引関係にある当事者間の合意を証明するための資料としては契約書が最適でしょう。ことここに至って、契約書が作成されていなかった、契約書を作成しておくことの重要性に初めて気付いた、ということにならぬよう、日常的に意識されるべき問題ではないでしょうか。
もっとも、日常的に取引のある相手方であるがゆえに信頼関係があり、わざわざ契約書を作成していなかった、というケースは珍しくありません。このような場合には、他の資料で合意の存在を証明できないかを検討せざるを得ません。
例えば、取引先からの発注書とこれに対応するこちら側の請書で合意の存在を証明できないか?過去の取引状況と入金状況、それと今回の取引内容から合意の存在を証明できないか?まさに常識にしたがって、検討するしかありません。
資料によって合意の存在を証明できるとしても、取引先があくまで支払いに応じないというならば、訴訟を提起せざるを得ないでしょう。
ちなみに、訴訟提起に先立ち、あるいはこれと並行して、仮処分を求める、という選択肢もあります(詳細は機会を改めます)。
また、特別な条件がそろう場合には、訴訟手続を経ることなく、一足飛びに最終段階である強制執行に着手できる場合もあります。例えば、取引先に対する売掛金を保全するために、先に引き渡していた動産に「先取特権」が成立する場合には、強制執行に着手することになります(民法第311条等)。
詳しくはご相談下さい。(続く)
弁護士 八木 俊行
伏見通法律事務所
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