コラム

16 債権回収も自己責任~債権回収の話2~

2014年04月12日

 この4月から池井戸潤氏原作の「ルーズヴェルト・ゲーム」のドラマ放送が始まるそうですね。
  昨年、同氏原作のドラマ「半沢直樹」をきっかけに、同氏の小説を何冊か読みましたが(現在「鉄の骨」を読んでいます)、どれも読みやすくて面白い! 私は、事務所近くの愛知県図書館で同氏の本を借りようとしたものの、「半沢直樹」の原作本は予約者が多く、借りることができませんでした。新ドラマも原作は未読であり、ドラマを見る楽しみが残ってよかったです。
 以前、「半沢直樹」に関連して債権回収に関する問題に言及しましたが(過去のコラム)、債務者が任意に支払いをしない場合、債権者に何ができるでしょうか?これに備えて何をしておくべきでしょうか?

 

 債権者には、債務者の財産に強制執行をかけることが認められていますが、そのためには債権に執行力が具備されていなければなりません。
 強制執行は、国家権力が私人(債務者)の財産を強制的に換価するというものであり、債務者の利益に重大な影響を及ぼすものですから(憲法的には国家権力による国民の財産権侵害の問題です)、後日、間違いだとわかった、などという事態があってはなりません。そこで、強制執行の前提として、債権が間違いなく存在することが明らかとなっていなければならないのです。

 

 つまり、債権者は、債務者があくまで任意に支払わない場合、その財産から強制的に債権回収を図るためには、①債権に執行力を具備すること②財産に強制執行をすること、の2段階を経る必要があります。
 債権に執行力を具備するためには、あらかじめ債務者関与のもと公正証書(債務者の執行受諾文言付きのもの)を作成しておくという方法もありますが、これがなければ裁判所の判決(債務者に給付を命ずる判決)を取得するなどの方法による必要があります。
 このような仕組みであるため、民事紛争が当事者間の話し合いで解決しない場合、最終的には強制執行も視野に入れ、裁判となるわけですね。

 

 ただ、裁判手続はあくまで①の問題に過ぎません。裁判で完全勝訴しても、債務者が支払いに応じないなら、やはり②の問題が残ります。強制執行の対象となる債務者の財産は、債権者がその負担で探さなければなりません。債務者に財産がなければ、②の強制執行はできず、勝訴判決は絵に描いた餅となります(その最たる例は債務者の破産です。ちなみに債務者が破産した場合、債権の執行力が失われると考えられています)。
  債権回収の問題に限らず、裁判所は自己責任で周到に準備した者にのみ力を貸してくれるのです。
 日本は資本主義、自己責任の国。司法も例外ではありません。(続く)