コラム

12 交通事故被害者はどこで裁判をするのか(2)~交通事故の話3~

2014年03月27日

 (前回の続き)

 愛知県名古屋市内で車を運転中のAさん(三重県四日市市在住)が、Bさん(岐阜県多治見市在住)の車に追突されてケガをした、とすると、Aさんはどこで裁判をすることになるでしょうか。 

 

  ある事件についてどこの裁判所に裁判を起こせるのかは、民事訴訟法上の土地管轄の問題として同法の解釈適用によって決まります。
 同法上、民事裁判では原則として被告(訴えられる側)の普通裁判籍(通常は住所)を管轄する裁判所は土地管轄を有するとされていますので、Bさんの住所を管轄する岐阜地方裁判所(多治見支部)はこの事件について土地管轄を有することになります。

 また、金銭の支払いを求めるなどの「財産権上の訴え」については、「義務履行地」を管轄する裁判所も土地管轄を有するとされています。このケースで問題となる不法行為による損害賠償債務は、民法の適用により債権者(つまり被害者)の住所で履行されるべきものです。
 そうしますと、Aさんの住所を管轄する津地方裁判所(四日市支部)も土地管轄を有することになります。

 さらに、このケースのように「不法行為に関する訴え」については、「不法行為地」を管轄する裁判所も土地管轄を有するとされていますので、事故発生場所を管轄する名古屋地方裁判所も管轄を有することになります。

 そのようなわけで、このケースでは、Aさんは上記3つの裁判所のどこに裁判を起こしてもかまいません。
 交通事故による損害賠償請求事件のように、複数の裁判所に土地管轄が認められる場合、どこの裁判所で裁判をするのかの選択権は原告にある、ということになります。

 

 ただし、事件の類型によっては土地管轄はごく限られた裁判所にしか認められません。
 例えば、交通事故問題からは離れますが、家事調停事件(離婚事件や遺産分割事件などの家事事件に関する調停手続)では、①相手方の住所地を管轄する家庭裁判所か、②当事者が合意で定める家庭裁判所にしか管轄が認められていません。
  そのため、例えば、離婚事件においてすでに夫婦が別居しており、一方は名古屋市内で、他方は九州の実家で生活している、であるとか、遺産分割事件において相続人たる兄弟姉妹が北海道で生活している、などという場合には、どのように問題を解決していくのか方針を検討する上で、土地管轄は重大な問題となります(遠方の裁判所となると出頭のための時間と費用がかかりますから…)。(続く