コラム

122 学校内のルールと弁護士会に対する人権救済申し立て

2023年01月12日

弁護士法は、その1条で、「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」、「弁護士は、前項の使命に基き、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない」と定めています。

 

このような弁護士法の定めを踏まえ、各都道府県に設立された弁護士会は、人権救済(人権侵犯救済)の申し立てがなされた場合、調査を行い、必要な措置をとる、ということを行っています。必要な措置には、警告、勧告、要望の3つがあるようですが、いずれも強制力はありません。また、調査の結果、不処置となるケースももちろんあります。

 

今朝(令和5年1月12日)の毎日新聞に、このような弁護士会に対する人権救済申し立ての制度に関し、2つの記事がありました。

 

1つは、大阪府内の私立高校における生徒の髪型に関する校則について、生徒が、令和4年6月に、大阪弁護士会に人権救済を申し立てた、というものでした。                                                                                                       記事によれば、その学校では、生徒は裾と耳元全体を刈り上げること(具体的には「耳元や襟足を指でつまめない3ミリ以下」とすること)などが求められているとのことで、生徒側は、そのような校則の不合理性を主張されているようです。ただ、その学校のホームページには、「守らなければならない事項」の一つとして「学校指定の髪形にする」ことが挙げられているとのことであり、校則の存在は周知されていたようです。

 

もう1つは、愛知県内の私立大学が、構内での集会や宣伝行動などには学長の許可が必要で、示威行為は禁止するなどの規定を制定したことについて、学生らで組織する自治会が、令和5年1月に、愛知県弁護士会に人権救済を申し立てた、というものでした。                                                                                  記事によれば、その大学は令和4年11月にこのような規定を制定したとのことであり、自治会側は、このような規定内容は「表現の自由」の侵害にあたる、と主張されているようです。

 

いずれも学校という団体内部の問題です。前者は、当初から存在したルールに関する問題であり、後者は、途中で変更されたルールに関する問題である、と言えるのでしょう。

各弁護士会は、どのような判断を示すのでしょうか

 

弁護士 八木 俊行

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