コラム

65 平成29年民法改正(1) 何が変わるのか①

2019年04月25日

 先回まで、相続分野に関する平成30年の民法改正に関することがらをこのコラムのテーマとして取り上げていましたが、これに先立つ平成29年5月に、民法の総則や債権に関する部分を改正する法律が国会で可決され、成立しています。

 なお、平成29年民法改正による改正法は、原則として、2020年(令和2年)4月1日から施行されることになっていますので、平成31年4月現在、なお改正前の民法が効力を有しています。

 

 私人間(平たく言えば、市民と市民の間)の法律関係について定める私法の基本法と言われる民法は、明治29年(1896年)に制定されたものですが、その後、大きな改正が行われることもなく、基本的には制定当時の姿を維持したまま平成の今日へと至っていました。

 平成29年民法改正は、民法制定以来初めての大きな改正と言えるものであり、改正事項は多岐にわたります。

 

 ところで、民法が大改正されるようだ、という話は、相当以前から聞こえていました。
 改正法の要点を解説する書籍はすでに多数刊行されており、私の手元には2冊ありますが、これらによれば、平成21年(2009年)10月、時の法務大臣が法制審議会に対して民法の規定のあり方について見直しを諮問したことがことの発端であった、ということです。

 法改正の方向性が明らかになる以前から、民法改正のあり方に言及した書籍は出版されており、当時、私もいくつかを目にしていました。

 そこでは、現在の民法が条文構成から根本的に改正される可能性にまで言及されており、仮にそのようなことになったら、一から民法を勉強し直すことになるのか、と少々ネガティブな感情を抱いた記憶があるのですが、それから数年の時を経て現実に成立した改正法は、これまで長く親しまれてきた民法を根本的に改正するというものではなく、骨格は維持したまま、ところどころに改正が行われているというものでした。

 改正の経緯に関する詳細は存じませんが、想像するに、民法改正に関する作業がスタートしてから改正法成立というゴールに至るまでの約8年の間に、さまざまなドラマ、せめぎ合いがあったのでしょう。

 

 このように長期間にわたる作業を経て成立するに至った平成29年民法改正の特色は、大きく2点あるように思われます。 

続く

弁護士 八木 俊行

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