コラム

39 結婚と離婚の法律問題(1) 結婚できる場合とできない場合

2019年02月27日

 以前、日本の平成24年における婚姻件数(約66万9000件)と離婚件数(約23万7000件)について記載しました。これらの数字が直近ではどうなったのかを把握するべく統計を確認したところ、厚生労働省のホームページにおいて「平成30年(2018)人口動態統計の年間推計」という資料が確認できました。

 これによれば、日本の平成30年における婚姻件数は約59万件(59万組)、離婚件数は約20万7000件(20万7000組)でした。いずれの数字も平成24年より減少しています。ただ、離婚は例外的なできごとではなく、むしろ日常的に生じている身近なできごとなのだと言える状況はなお存在するのだろうと思われます。

 

 そこで、結婚した場合にどのような法律問題が生じ得るのか、ということについて、何回かに分けて考えてみたいと思います。

 まず、結婚はどのようにして成立するのか、について考えてみたいと思います。なお、世間一般では「結婚」と言いますが、法律上は「婚姻」と言いますので、以下では「婚姻」と言います。

 

 以前、婚姻は契約のようなものだ、と記載しました。民法上、契約は当事者間の合意によって成立すると考えられていますが、婚姻もまた夫となるべき者と妻となるべき者、という当事者間の合意によって成立します。この点は、戦後、新たに制定された日本国憲法第24条1項に「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立し」と記載されている通りです。

 ただ、婚姻は、身分関係に重大な変動をもたらすものであることから、2人の間に合意が成立した、というだけでは足りず、戸籍法の定めるところにより、婚姻の届出をすることで初めて成立するものとされています(民法第739条「婚姻は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生じる」)。

 

 このように、婚姻は、夫となるべき者と妻となるべき者の合意と届出によって特段の問題なく成立するわけですが、一定の例外的場合があります。

 例えば、「婚姻適齢」という問題があります。民法上、婚姻できる年齢というものが定められています。すなわち、男性は18歳に、女性は16歳にならなければ、婚姻することができません(民法第731条「男は、一八歳に、女は一六歳にならなければ、婚姻をすることができない」)。したがって、婚姻適齢に達しない男女間の婚姻は、しかるべく役所に婚姻届を提出したとしても受理されず、婚姻は成立しません。

 なお、仮に婚姻適齢の問題が看過され役所で婚姻届が受理されたとすると、その婚姻は無効となるわけではなく、一応成立し、事後的な取り消しの対象となるものとして扱われます。

 また、当然ながら、すでに婚姻している人は、重ねて婚姻することはできません(民法第732条「重婚の禁止」)。重婚は犯罪とされており、既婚者が後婚の届出を役所に提出して受理されると、刑事責任を問われる事態となります(刑法第184条「重婚の罪」)。

続く

弁護士 八木 俊行

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